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07/21/2005

作曲家サイト集 Vol.2

20世紀生まれの作曲家サイト集、アメリカ編です。
戦後(1945年以降)生まれを含めると膨大な数になりそうなので、それはまた別の機会に。
私の趣味で選んだので、かなり偏ってます…


Harry Partch : An American Original

ハリー・パーチ(1901-1976)は、純正調(純正律)に基づく独自の音階(1オクターブを43分割したもの)を考案し、それを自ら考案した数々の楽器(43微分オルガン、ガラクタを集めて作られた楽器等)に用いました。
彼を紹介する言葉には、"iconoclastic composer(因習を打破する作曲家)"や、"instrument builder(楽器創作者)"、"hobo(放浪者、渡り労働者)"などがあります。
"hobo"といわれるのは、若い頃文字通り放浪生活をしながらいくつもの職を転々としていたから。
平均律(十二平均律)という、或る意味絶対的な(言いすぎならば、大多数の人が信じている)西洋音楽の音の物差しに疑問を呈し、響きの美しさを重視した独自の音階を考案したパーチの「音」への姿勢に共感し、影響を受けた音楽家はアメリカだけではなく、世界に広がっています。

サイトは文献が多めの構成でしょうか。これからパーチについて調べようと思っている人にとっては、良い手掛かりになりそうです。
ただ、バイオグラフィや作品年譜などが見当たらないのが残念です(くまなく見たわけではないので、どこかに埋もれている可能性はありますが…)
"THE ART INSTITUTE OF GUALALA. . . . The Primary Collection (visual)"というコンテンツでは、創作楽器の写真が見られます。("SHOW US YOUR INSTRUMENTS!"というページ)
また、"THE ART INSTITUTE OF GUALALA. . . . The Zymo-Stuff Wing (audio-visual)"では、創作楽器の画像をクリックすると音が聴けたり、彼の代表作のひとつ"Barstow"をバージョン毎に一部試聴できます。(解説文となりにあるBarstowの地図をクリックすると音が鳴るようになっています)

※文中の「純正律」「平均律」のリンクは、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』です。


John Cage database

意外なのですが、ジョン・ケージ(1912-1992)にはオフィシャル・サイトがないみたいです。
これだけ影響力を持つ作曲家なので、あってもいいと思うのですが…
でも、検索すると、ケージ関係のサイトは大量に見つかります。
その中で作品データベースとして重宝しているのがこのサイトです。


The David Tudor Pages

デヴィッド・チュードア(1926-1996)の音楽で、私がまず最初に思い浮かべるキーワードはライブ・エレクトロニクス。
ライブ・エレクトロニクスというのは、自作の音響キットなどから発生する音を、エフェクトなどで自在に変化させる手法の音楽。作曲者の指示に従いつつ、即興的な要素を含んだライブ演奏です。
1960年代に、ケージやチュードアなどアメリカの、所謂“実験音楽”分野の人々が始めました。
その後の、“現代音楽”はもとより、ポピュラー系の音楽にも多大な影響を与えています。
テクノが好きな人には違和感なく聴ける音ではないでしょうか?
チュードアは元々は天才的な現代音楽のピアニストで、シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen 1928- 独)やブーレーズ(Pierre Boulez 1925- 仏)、ラモンテ・ヤング(La Monte Young 1935-1996 米)等のピアノ作品の演奏で賞賛を得ました。
ケージの無音のピアノ曲、「4分33秒 -- 4'33'' (1962)」を初演したのも彼。ケージとの共同作業が増えるにつれ、ピアニストから作曲家へとシフトしていったようです。

サイトのトップページは、いかにも彼らしいデザイン。
作品の試聴はできませんが、テキストによる情報が豊富に揃っています。
試聴は、"amazon.com"でほんの少しだけできます。興味のある方はそちらで(といっても、短くてワケが分からないかもしれませんが…)

3 Works for Live Electronics(amazon.com)
Rainforest(amazon.com)
Neural Syntheses 6-9(amazon.com)


Welcome to the domain of Terry Riley

テリー・ライリー(1935-)は、ラモンテ・ヤングなどと並び“ミニマル・ミュージック”の旗手のひとりとして有名ですが、他の“ミニマリスト”同様、カテゴライズされるのを嫌っています。
ミニマル・ミュージックの定義である「最小限の音素材を使用(かつ反復)する」という要素を持ちつつも、その音楽スタイルは即興に重きを置いています。70年に北インドのラーガの研究をはじめ、その影響のもとにオリジナリティ溢れる音楽を作りだします。
インド音楽をはじめ、いろんな音楽の要素を取り入れながらも、アメリカ西海岸特有(個人的なイメージですが…)の、スコンと抜けた明るさみたいなものを感じます。

サイトのデザインはサイケ!ライリーっぽい?のかなぁ。雰囲気はありますが。
トップページのライリーのアップが…(苦笑)
バイオグラフィ、ディスコグラフィといったお決まりのページから、"CD's"というCD通販?ページではサイン入りCDまで売られていたりします。(結構お買い得かも)
"Audio"ページにて作品の試聴ができます。殆どの作品が抜粋(一部試聴)ですが、十分な長さです。


The Steve Reich Website

スティーブ・ライヒ(1936-)については、過去の記事(12/10/2004 Come out/Steve Reich)をご覧いただくとして…

その記事中でもサイトの紹介をしています。
前述のライリーとは同年代のアメリカ人で、こちらも“ミニマリスト”の代表格として紹介されることの多い人物です(これまた同様に、カテゴライズされることを嫌っていますが…)。

こちらのサイトは、黒を背景に色味を抑えたシックなデザイン。
"Multimedia"のコンテンツでは、「18人の音楽家のための音楽 (Music for 18 Musicians, 1974-1978)」の試聴(MP3)、
「クラッピング・ミュージック (Clapping Music, 1972)」と、ビデオオペラ「スリー・テイルズ (Three Tales)」の第1部"Hindenburg"の"Nibelung Zeppelin"部分の映像が公開されています。
映像を見る場合にはメニュー"Multimedia"の右にある"Video"をクリックしてください。
個人的には「クラッピング・ミュージック」の映像が見られるのは嬉しいです。


PhilipGlass.com: Philip Glass

フィリップ・グラス(1937-)も、“ミニマリスト”として知られたひとり。(彼もまた…以下同文)
彼は自身の音楽を語るときに"music with repetitive structures" (反復構造を伴う音楽)という言葉を好んで使っています。
ライリーやライヒと比較すると、調性やリズム感がはっきりしていてポップな印象を受けます。ポピュラー・ミュージック方面の人々(デヴィッド・ボウイ、デヴィッド・バーン、ローリー・アンダーソンなど)との交流があることも、そのイメージを強くしているかもしれません。

サイトは白地にブルーとグレーでまとめた、シックで見やすいデザインです。
メニュー"Works"内にある"Online works"で曲の試聴ができます。
試聴ページは2種類用意されています。
"IBM Glass engine"は、タイトル・インデックスや作品年譜等がバーになっていて、それをマウスで左右に動かしながら試聴するタイプ。文章での説明は難しいのですが、操作は簡単です。遊びっぽい要素があって、楽しく試聴できます。(環境によっては上手く起動しないかもしれません。トップページの説明を良く読んでください)
"Music from Dunvagen"は、カテゴリー、作品のテンポ、楽器編成を選択すると、それにマッチする作品を試聴できます。(組み合わせによっては作品が該当しないこともあります)


Meredith Monk | Home

メレディス・モンク(1942- )は、ペルー出身の女性音楽家。
作曲家としても、ヴォイス・パフォーマーとしても確固たる地位を確立しています。ほかに、指揮者、振付師、新しいオペラや音楽の演劇活動、音楽映像作品の制作など、多岐にわたり活動しています。
彼女の作品には“声”が良く使われますが、「歌」や「語り」ではなく、声そのものが素材として用いられています。
プリミティブで透明感がある美しさとともに、非常に複雑な面も併せ持つ“今の”音楽だと思います。

黒を基調にしたサイトで、クレヨン画ふうコンテンツがチャーミングです。
"interdisciplinary"の"opera and musical theater"ページで、映像作品を見ることが出来ます(一部)
音楽の試聴は、イギリスの音楽出版社「Boosey & Hawks」のサイトで2作品が一部試聴できます。

Meredhith Monk (Boosey&Hawks)


このあたりの作曲家になると、サイトのデザインにも「その人らしさ」が滲み出ていて面白いです。
内容が充実しているな。と思うのは、テリー・ライリーとフィリップ・グラスでしょうか。
個人的に、ハリー・パーチはいろんな人に知って欲しい作曲家です。
次回はヨーロッパ編?
いつになるか分かりませんが…

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Comments

moondialさま

>Internet Archive に「Other Minds Archive」というセクションがあります

知りませんでした。
先ほど訪問したのですが、すごいですね。
発掘しがいがありそう(笑)
私の大好きなLou Harrisonのインタビュウ、音源もあって嬉しいです。
しばらくはまりそうです。
教えてくださって有難うございます。

インタビュウを繰り返し聞いてるうちに英語力もつくかなぁ…
一石二鳥を狙ってみるのもいいかもしれません(笑)

Posted by: kompf | 07/29/2005 at 04:26 PM

"American Maverics" ご存じでしたか。大変失礼しました。
私はいつでも聴けると思ってついつい後回しにしているのですが、できればこの夏に一度通して聴いてみようと思っています。

また、これもご存じかもしれませんが、Internet Archive に「Other Minds Archive」というセクションがあります:

http://www.archive.org/audio/collection.php?collection=other_minds

元々は、在米国サン・フランシスコで John Cage 歿後に設立されたNPO法人 Other Minds (http://otherminds.org/)が開催している音楽祭での講演や演奏音源のコレクションだったようですが、それ以外の音源・インタヴュウなども蒐集、今後とも継続的に公開されるようです。
こちらも私自身は残念ながらほとんど未聴です。ちょっと検索しにくいのが難点ですが、行き当たりばったりでいろいろ聴いてみようと思っています。

Posted by: moondial | 07/27/2005 at 08:37 PM

moondialさま

"American Maverics"は、ネット上で知り合った方から教わって、以来愛聴しています。
ただ、私は英語が本当にダメなので(涙)Listening Roomでサンフランシスコ響の演奏しか聴いてませんでした。
でもテキストがあるのならば辞書片手になんとかなるかもしれません。教えてくださって有難うございました。

>一度きちんと聴いてみて記事にしようかと思っていた(のですが明らかに私の手には余るので断念)ところがあります

私もこのサイトはとても気に入っているので、いつかブログで紹介したいと思っていたところです。
moondialさんの視点での記事も読んでみたいですね。

Posted by: kompf | 07/25/2005 at 04:48 PM

「20世紀生まれの作曲家」「アメリカ」関連で、以前から一度きちんと聴いてみて記事にしようかと思っていた(のですが明らかに私の手には余るので断念)ところがあります:

American Maverics
http://musicmavericks.publicradio.org/

米国の公共放送ネットワークでオン・エアされ、好評を博した(ようです)13回シリーズの番組が、オン・ディマンドでストリーミングにより聴けます。
圧倒的な欧州/西洋古典音楽の影響を受けながら、とくに19世紀末以降、いかにそれを超克して米国独自/固有の音楽(いわゆるクラシック・現代音楽・ポピュラーひっくるめて)が作られるようになったかを描いたものです。ナレイション担当は歌手のスザンヌ・ヴェガです。

半年以上前にたしか米国人の音楽ウェブログで記事になっていたのを通じて知りました。私はまだ最初の4回分くらいまでしか聴いていないのですが、シリーズを通して聴くと、たぶん今回 Kompf さんがとりあげられた作曲家・音楽家はほぼ全員言及されているのではないでしょうか。

番組自体は音楽サンプルもふんだんに盛り込まれており、なかなか聴き応えがありました。英語番組なので音楽専門用語など出てくると私にはお手上げですが、流れてくる音楽だけ聴いていても興味深かったです。

なお、語りの部分を文字に起こしたものが、忠実なトランスクリプションではないものの「features --> Read --> Essays by music critic and author Kyle 」(これらが元原稿かもしれません)で読めます。

Posted by: moondial | 07/22/2005 at 01:39 AM

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